中條編集長が去った『小悪魔ageha』に付録がついてもはや宝島社ですかと

こんにちは、かやです。もうすぐクリスマスですね。いかがおすごしでしょうか。私は例のごとく、仕事から帰った後はブログ書いたり本読んだり、充実した引きこもりライフを満喫しております。さてさて、今回は「元」小悪魔ageha総合編集長の中條寿子氏と付録の話を。

 

「元」というのは、彼女が先月でインフォレスト社を退職し、ageha編集長ではなくなったからです。諸事情あったのでしょうけれど、中條氏がagehaからいなくなるのは自分にとって色々と感慨深い。彼女は先日の「週刊金曜日」の連載で、雑誌の付録について語っています。「『付録をつければ売れるんだから何でも良いからつけろ』と暗におじさまたちからにおわされ」ていたとか。その証拠に、中條氏が去った2月号(1月1日発売)のアゲハには初の付録がつきます。

 

付録といえば、2001年に日本雑誌協会が「プラスチックや金属を使った付録の流通に関する自主規制」を緩和し、2002年頃から一部の雑誌が特別な号だけに付録をつけ始めました。2008年からはご存知、宝島社の『SWEET』が付録で大躍進し、今では付録のない女性誌の方が珍しくなりました。まさに“付録バブルその中で中條氏率いるagehaは、頑なに付録を拒んでいたわけです。

 

付録バブルになってからというもの、中條氏は周囲からたびたび、「なんで付録つけないんですかー」と言われるようになったといいます。私の周りでも雑誌はまず付録を見て買うか決めるという子は多くて、付録のおまけが雑誌って感じです。まるでチョコエッグですね懐かしい。



この3年で、雑誌の買い方・選び方はガラリと変わりました。ファッション誌に求めるものが情報(コト)じゃなくて付録(モノ)になった。消費者が即物的になったといえばそれまでしれません。まあその即物的な欲望を煽っているのは誰なんだって話で、ファッション誌の発行部数が下落し続けるなか、雑誌がライフスタイルを売るなんてのは幻想にすぎないのです1970年に創刊されたan-anさえ不惑を過ぎ、雑誌のあり方も変わらざるをえないのでしょう。



80年代の女子大生ファッション*1JJを始めとする女性誌と共に広がったけど、今の女子大生はもう、雑誌を読まないのです。彼女たちがおしゃれの参考にするのは好きな有名人のブログや、街行く人々。雑誌を買うのは付録のためだけです。



米澤泉氏はこれを、「女性誌はブログとフロクに行き着いた」と評しています*2特定のモデルを支持する女の子たちは、そのモデルが雑誌で着ている服が所詮、モデル本人ではなくスタイリストが考えたものだと気づいているわけです



モテ系女性誌Cancamのモデルの私服なんて、全くといってよいほどモテ系じゃないですしね。むしろモード系だったりする。だったら直接、モデルのブログを見たほうが早いのです。雑誌よりずっと素の姿に近い彼女たちを見ることができるから。まあブログだって所詮幻想かもしれませんが、雑誌の幻想よりは多少なりともリアルなのでしょう…。



ところで、agehaの中條さんはとある人気女性誌編集長に「付録はシャブよ。一度入れたら抜けられなくなる」と言われたことがあるそうです。抜けられなくて苦しむ編集者が沢山いるとか。付録が重くなればなるほど、雑誌の中身は軽くなるということかもしれません。100万部を超えた宝島社のSWEETが良い例ですね。



女性誌が付録をつけるようになってから、特に若年層向けの雑誌では赤文字系(モテ系)と青文字系(カジュアル系)の区別が緩くなってきたように思います。部数を伸ばす元祖青文字系宝島社が、赤文字モテ系ブランドに声をかけている(または赤文字系ブランドから宝島社に、部数を見込んだタイアップの引き合いがある)からか。



島社のSWEETが公称100万部を超えたとき、中身を見てみたらタイアップが95%でびっくりしたのを覚えています。それまで青文字系ではなかったブランドや歯磨き粉や温泉宿(!)まで、100万部という数字を出したSWEETに皆が群がっている感じ。ここまでくるともはや、雑誌が所詮、広告であることを指摘する気すらなくなりますね。非常にわかりやすくて良いではないかと思う反面、agehaのような雑誌にとっては生き難い状況が続いていたと想像します



ただ、宝島社が満を持して創刊した「40代女子」向け雑誌『GROW』は、他の付録つき雑誌とは少し違って一応中身があるように思います。雑誌をお手本にライフスタイルを組み立ててきたバブル世代は、付録だけでは取り込めないですからね。



SWEETと小悪魔ageha

 

対照的な2つの雑誌が、今後どうなってゆくのか少し楽しみなかやなのでした。

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