『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)発売と、発売記念イベントのお知らせ

5月25日(月)に、星海社より『整形した女は幸せになっているのか』が刊行されることになりました。

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(2章まで試し読みができます。こちらから。Amazonはこちらです→ キャバ嬢の社会学 (星海社新書)

以下、本書で行った”元祖美魔女”、作家の中村うさぎさんへのインタビューを一部、ご紹介します。

 

――それまでは、買い物依存から始まって、ホストにハマって行かれたと。

「そうですね、やはり若くてきれいな男みたいなものに憧れるというか。そういう対象に女として扱われることで、自分の価値がまだある、女として現役感があるという自己確認みたいな感じでしたね。ハゲのオヤジに、言い寄られたってあんまり自分の価値が上がらないので。自分の中でね。自己満足ってのはそういうこと。自分の中で自分の価値がどれだけ上がるかっていうことですよ。鏡を見て『あたしは綺麗』って毎日、思っていれば、自分の価値は底上げされるっていう人もいるかもしれないけど、女としての自信は、異性からの評価があって初めて裏付けられる。それがないと、美人でもなんでもないのに、必死になって思い込んでる『勘違い女』になると思う。そういう女だけにはなりたくないと思って、客観的な基準を持とうとすると、異性という他者からの評価しかないわけで。同性同士で、なになにちゃん綺麗ね、可愛いねって言っても、どこまで信用していいか分からないから。まあだいたい、同性同士で『ブスだ』とは言わないからね」

――ブサイクな子がいたとしても、『愛嬌がある』とか言って……。

「『笑うと可愛い』とかね。それはブスなりの可愛さであって、客観的な評価じゃないんだけどね。ブスな子がどんなに笑顔が素直でも、ブスはブスなので。怒った顔をしているよりは、笑った顔のほうが魅力的っていうだけ。本当に客観的に、女性の顔を評価できるのは、異性愛=ノンケの男性ですよ。容赦ないからね」

――容赦ありませんね。

「女の人は、性的に興味がない男性にも、社交辞令でニコニコ笑って『素敵なネクタイですね』くらいのことは言うんだけど、男は興味なかったら絶対言わないからね。そういう意味では、男の人の評価が一番、客観的だとは思うんですよ。そういう客観性っていうのはやっぱり必要なので」

(略)

美容整形は、自分の欲望と向き合う行為だ。うさぎさんが、買い物依存からホスト依存、そして整形依存の道を歩む中で考察してきたのは、自分が何を欲していたのか、ということであった。それは、自分の価値が高いと信じたい、というナルシシズムであり、一方で、そのナルシシズムを裏付ける証左がほしいという「客観的な基準への欲望」であった。そのもがきの過程を、彼女に批判的な人々は「依存症」と呼んで揶揄する。

 ――うさぎさんを「元祖美魔女」という人もおりますが、一方で、整形に依存していると非難する人もいますよね。

 「全然、依存していると思うし、そもそも私は依存体質だから。買い物依存、ホスト依存、イケメン依存というか、色恋依存というか。ちょっと前までは、美容整形に依存していたので、依存体質であることには変わりはない」

――うさぎさんの場合は、依存の過程を全て文章として残されていますし、「依存」という批判は、やや的外れだなとも思うのですが……。

「そうですね、『依存してない』とは一言も言っていないから。そもそも、何にも依存してないで生きてる人なんていないと思う。人は必ず、仕事や家族、恋愛、趣味、人間関係とか、様々な対象に依存している。そうじゃないと自己確認ができないから。他人との関係の中で自己確認をして、自分のポジショニングとか、価値みたいなものを測ろうとするから、依存せずにはいられないわけ。たとえば、趣味ひとつとっても、テニスがどれだけ上手くなったとか、ガンダムのフィギュアをこれだけ集めたとか、やっぱり他者との比較になって来るしね。どんなオタクだって、他者を必要としているところを見ると、『他者との関係性』に依存しないで生きてる人はいないと思う。そんな人が本当にいたとしたら、社会生活は営めないと思いますよ」(中村うさぎ氏)

 (後略)

私が「美容整形」という、拡大し続けるマーケットに焦点を当てたのは、整形が「人の興味を惹きつける『ゴシップ的な側面』をもちながら、一方で医療とも美容ともつかない曖昧な領域であるがゆえに、意味付けをなされていない分野」だからです。私たちは、美容整形についてあれこれ語っている一方で、その実何も語っていないのです。

なぜ世間は『整形』した人にネガティブな印象をもつのか、なぜ整形は、心の問題と関連付けられてしまうのか、整形する人と、しない人の違いは何? 多くの女性がプチ整形や整形で若返り、美人になることを、フェミニズムはどう捉えるのか?? そして私たちが、顔や体のコンプレックスに翻弄されてしまうのはなぜか??。

こうした問題について、徹底して向き合った1冊です。ぜひ、お手に取ってみて下さると嬉しいです。

ところで、お知らせが遅くなってしまいましたが……発売日の25日(月)、下北沢B&B書店にて、トークイベントを行います!

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お申込みは、こちらからできます

月曜の20時からなので、お仕事のある方は難しいかもしれませんが、ぜひいらして下さると嬉しいです!!!

 

北条かや

 

以下、星海社HPからの引用です。

星海社新書編集部が、下北沢B&Bに登場

大人気星海社新書の月例イベントが、下北沢B&Bに初上陸!

2014年、『キャバ嬢の社会学』社会学に新風を吹き込んだ北条かやが、満を持して送り出すデビュー2作目『整形した女は幸せになっているのか』。その発売日となるこの日、下北沢B&Bに、著者本人が登場します。新刊の内容についてはもちろん、企画開始に至った経緯や、整形経験者へのインタビューで感じたこと/書けなかったこと、今後の野望など、「この場」でしか聞けない話が盛りだくさん。

社会学の俊英、北条かやと同じ空気を共有し、五月病を吹き飛ばそう!

星海社新書『整形した女は幸せになっているのか』内容紹介

「顔さえ変えれば、うまくいく?」

あっけらかんとした「公言」に留まらず、手術前後をブログで「実況」するモデルまで出現し、ますますカジュアルになっていく「美容整形」。ある調査によれば、18歳〜39歳の日本人女性の実に11%が、整形経験者であるという。スマホで手軽に写真撮影・アップロードができ、これまで以上に「見た目」で判断される機会の増えた現代社会。時に美しさは、幸せになるための必要条件であるかのように語られる。美しく生まれた女が幸福に近いのであれば、美しさを「手に入れた」女もまたそうであると言えるのか。現代社会だからこそ出現したこのいびつな問いに、社会学の俊英が挑む。

「あなたのモラルは、どこまで許す?」

 

【北条かやプロフィール】

1986年、石川県金沢市生まれ。「BLOGOS」はじめ複数のメディアに、社会系・経済系の記事を寄稿する。同志社大学社会学部、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。会社員を経て、14年2月『キャバ嬢の社会学』刊行。NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」、TOKYO MX「モーニングCROSS」などに出演する。15年5月26日、最新刊『整形した女は幸せになっているのか』発売。 

 

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