AneCanにみる、「夢」でつながるアラサー女性
先日発売された『AneCan』1月号が、ちょっとした自己啓発書のようになっています。
「なりたい自分になろう!」「夢を叶える」「野望」…とにかくアツいです。「お金持ちになる」「◯日で幸せになる」など、「~になる」というのは、自己啓発書のタイトルでよく使われるフレーズですね。
大特集では「強く、可愛く、一生懸命!AneCanモデルズが見る夢は」と題して、同誌のモデルたちが今後の抱負を語っています。
この「一生懸命!」が、重要なポイントです。なぜなら同誌の看板モデル、押切もえが、まさに「一生懸命!」を体現する存在だからです。
彼女はガングロギャルからダイエットを頑張って、Cancamの売れっ子モデルに。以来、モデルとして頑張る傍ら、読書やゴルフに励み、AERAなど雑誌での執筆活動や、英会話を頑張り、先日、頑張って初の小説を出すまでになった、努力の人です。
彼女は、「やりたいことがたくさんありすぎる!」と語ります。
一方、他のモデルたちは押切もえと比べると、見劣りする気がしました。もちろん頑張ってはいるのですが……
押切もえと他のモデルの違いは、その「思いの強さ」です。彼女のように、自信をもって「私はコレがやりたい!」と主張できる女性は少数派なのです。
その理由は「女性のライフコースが多様化したから」です。人生が多様化したために、他人と比べて「私の生き方、これでいいのかな?」と、悩む女性が増えているのです。
昔なら女性は、20代前半で結婚、出産、子育てが一段落したらパートで働く…というのが当たり前でした。ところが85年に男女雇用機会均等法ができてからは、バリキャリの増加、そして離婚率の上昇や晩婚化など、女性の生き方は「(割と)何でもアリ」になりました。
AneCanモデルを見ても、
・押切もえは「独身」「バリキャリ」
・エビちゃんは「セレブ婚」で「子なし」
・高垣麗子は「バツイチ」
・鈴木サチは2人の「子持ち」ですっかり「主婦」モード
など、さまざまです。
仕事を頑張ってもいい、結婚してもしなくてもいい、でも、主婦になってもいい、子どもだって産まなくてもいい、欲しければいつ産んだっていい。
そんな現代の女性たちは、「他人と自分のライフコースを比べて悩む」傾向が強くなったように思います。仕事も頑張りたいけど、専業主婦にも憧れる。でも、主婦になった友達が幸せそうかといえばそうでもない、かといってバリキャリの先輩を見ていると、あそこまで頑張るのはムリそう…
迷える女性たちにとって、人と比べずに、「私にはやりたいことがある! I Have a Dream!」と自信を持って主張できる押切もえは、憧れの存在です。
編集部が「夢」をキーワードに、押切もえをプッシュする気持ちも分かります。女性のライフコースがさまざまに分かれる中、「大人可愛い」だけで読者の心をつかむのは、無理があるからです。「夢」というブラックボックスに色々とぶちこめば、多様化する読者の共感を得られるでしょう。
AneCan読者、もといアラサー女性はもはや、「夢」という曖昧なキーワードで繋がるしかないのかもしれません。「夢」を追っていれば、とりあえず「人生の強度」は増しますから…「みんな夢に向かって頑張ってるんだ!よし、私も頑張ろう!」
かくいう私も、同誌を読み終えた後はすっかり自己啓発モードに。やる気がでない、何となく不安…という女性には、『AneCan』1月号、おすすめです。