なぜ、しまむらの従業員は土下座してしまったのか

先月末からネットで炎上している「しまむら従業員土下座事件」。ついに先日、加害

者の女性が逮捕される事態にまで発展しましたね。

 

謝罪強要の疑いで43歳女を逮捕 店員に土下座させネットに投稿(MSN産経ニュース)

 

しまむら好きの私としては、この事件は下記の2点について、特に注目しておりまし

た。

 

1)加害女性のパーソナリティ

2)従業員が土下座した理由

 

1)加害女性のパーソナリティについて。

 

この件について色んなニュースを見聞きするうちに、とあるキーワードが頭に浮かびました。それは「誇大自己症候群」というものです。

 

誇大自己症候群とは、簡単にいえば、

肥大した自己愛と「私が世界の中心である」という万能感から、「自分より弱い存在を意のままに支配しようとする人たち」のことです。

 

彼、彼女らはプライドが異様なまでに高く、「自分の判断が絶対的に正しい」と思い込んでいます。自分の思い通りにならないと烈火のごとく怒り、常軌を逸した行動(犯罪など)に走ることもあります。

 

その怒りのロジックは、

「私の思い通りにしなかったあなたが悪い。私は被害者だ!」というもの。

 

誇大自己症候群の人たちは、自分がいちばん偉い、ということを認めてもらわないと気がすまないのです。そのために、利用できる相手はとことん利用します。

 

(参考:『誇大自己症候群』岡田尊司著、ちくま新書、2005年

 

 

近年増えているといわれる「モンスタークレーマー」の一部には、こうした誇大自己症候群の人たちが相当、含まれているように思います。

 

彼、彼女らは少しでも気に食わないことがあると、自分の非を棚に上げ腹を立て、謝罪させようとします。そうすることで「自分が世界の中心である」という万能感を得るのです。背景には、ゆがんだ自己愛やコンプレックスがあります。

 

しまむらの従業員に土下座をさせた女性にも、誇大自己症候群の特徴がよく当てはまるように思います。

 

彼女の怒りのロジックは、100歩譲って、980円のタオルケットが不良品だったとしても、めちゃめちゃです。店員さんたちは、彼女がなぜ怒っているのかが全く理解できなかったことでしょう。

 

ここにきて、

2)しまむらの従業員が土下座した理由 

が見えてきます。

 

ふつう、仕事でミスをした際には、まず「自分ができなかったこと」を認めたうえで「謝罪する」ことが求められます。「私は◯月◯日までに☓☓を納品できませんでした。◇◇様には△△の点でご迷惑をお掛けし、申し訳ございません」といったふうに。

 

ですが今回の場合、しまむら側のミスは「タオルケットに穴が開いていた」という1点のみ(店員の対応が極端に悪かったかどうか等は、分からないのでひとまず置いておきます)。

 

なのでおそらく、店員さんは彼女がどうしてそこまで怒るのか、全く理解できなかったはずです。フツーのお客さんなら、店側が不良品のミスを認めた時点で納得し、粛々と返品なり交換なりの手続きに入ってくれるはずなのですが、彼女は違ったからです。

 

そもそも彼女は「しまむら店員が私の気分を害したこと」に対して腹を立てているので、「不良品をお渡ししてしまい、申し訳ございませんでした」というポイントを絞った謝罪は全く意味がないどころか、「どうしてお前たちは私の怒りを理解しないのだ!」と、火に油を注ぐ結果になってしまったわけです。

 

そう言われると、店員さんは相手の怒りの原因が分からないので、何をどう謝ればよいのかも分からなくなってしまいます。だから、とにかく謝り倒すしかなかったのでしょう。「土下座しろ」と言われれば、従うしかなかったのです。



しまむらの店員さんが土下座してしまった理由は、「モンスタークレーマー」である彼女の肥大化した自己愛を満たすため…だったのかもしれません。

 

加害者女性が求めていたのはおそらく、冗談抜きに「お客様は神様です」というフレーズをしまむらの店員さんが行動に移すことだったのですから……

 

現代人に増えていると言われる「誇大自己症候群」。これについては今後もちょくちょく、考えていこうと思います。